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世にも奇妙な人体実験の歴史

17 12月

世にも奇妙な人体実験の歴史

【世にも奇妙な人体実験の歴史】

トレバーノートン著

490.76 || N96

2012年度のノーベル化学賞は「Gタンパク質共役受容体」という薬の作用に関わる細胞膜にあるアンテナの構造を解明したロバート・レコウィッツ教授とブライアン・コビルカ教授らに与えられることが決まりました。アレルギー、高血圧症、心不全など多くの病気がこの受容体とかかわっており、世の中の薬の3割が標的にしているといわれるほど創薬の分野では画期的な発見で、これにより以前は勘をたよりにクスリを作っていたのが、より狙いをつけた新薬開発ができるようになりました。

さて、今回紹介します図書はこのような偉大な業績とは真逆の、歴史の表舞台には登場せず、しかしながら様々な分野で自己を犠牲にして科学の発展に寄与した勇敢な自己実験者(例えばコレラ患者の嘔吐物を飲んだり、カテーテルを史上初めて自らの心臓に通すなど)達の記録です。本書が取り上げている自己実験は多種多様です。様々な感染症や寄生虫症、ビタミン欠乏症など医療関係の実験だけでなく、深海や成層圏、超音速への挑戦など冒険的試みまで網羅されています。

研究レベルで細胞や動物には成功した治療法や薬剤を臨床応用するには最後にはヒトに応用し、その効果を調べなければなりません。現在では臨床治験といい、倫理的にも管理されていますが、これも人体実験の一つであると言えます。

本書はヘルシンキ宣言(1947年6月、ナチスの人体実験の反省より生じたニュルンベルグ綱領を受けて、1964年、フィンランドの首都ヘルシンキにおいて開かれた世界医師会第18回総会で採択された、医学研究者が自らを規制する為に採択された人体実験に対する倫理規範。正式名称は、「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」)が採択される以前の科学者達のアッと驚くような人体実験があふれていますが、このような一見常軌を逸した人たちの自己犠牲の精神が今日の科学の進歩に寄与していることがわかり、とても興味深い内容になっています。

(全部で17章より成っていますが、個人的には第3章の「インチキ薬から夢の新薬」がオススメです。)

(保Ⅲ 吉沼直人)

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投稿者: : 2013年12月17日 投稿先 本の紹介

 

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